【田舎移住体験記】三千坪の山林を、坪単価「千円」で取得


私の田舎移住の顛末はちょっと特殊なケースなので、はたして参考になるかどうか分かりませんが、これから田舎移住を真剣に考えている人たちに向けて、ひとつの事例としてその経緯を綴ってみたいと思います。

春の大岡を初訪問

私がここ大岡を初めて訪れたのは1994年の春、ちょうどGWの期間で美しいアルプスが印象的でした。
名古屋からはるばるこの大岡の地までやって来た目的は、観光旅行でも移住目的でもなく、実は不動産物件の下見のためでした。

当時、結婚を機にマイホームの購入を真剣に検討し始めていた私でしたが、まだ20代の若さではたいした蓄えもなく、都市郊外のマイホームなんて高嶺の花。
家はともかく、土地だけでもなんとか安く手に入らないものかと、あれこれ調べているうちに「不動産競売」というのを知りました。

競売というのは、土地を担保に銀行からお金を借りたものの返済できなくなって差し押さえられてしまった担保不動産を裁判所が競売、つまりオークションにかけて広く一般市民に競り落とさせる、というしくみで、運がよければ驚くほどの安さで不動産を手にすることができるのです。
(ちなみに競売は「きょうばい」ではなく「けいばい」と読みます)
現在の相場はどのくらいかちょっとわかりませんが、私が熱心に物件情報を探していた頃は、田舎の山林物件の相場はだいたい坪当たり800円~1,000円くらい(ただしこれは競売開始価格)と、都会の感覚からすると「これが本当に土地の値段!?」と驚くほどの安さでした。
100坪ほどの土地でも、運が良ければわずか10万円くらいで買えてしまうわけです。

もっとも安いのには理由があって、たいていは山奥の山林など投機目的には向かないような物件が中心なので、普通の人はあまり手を出さないのですが、しかしもともと田舎暮らし志向の私としては、人里離れた山奥でも全くOK。むしろ誰にも干渉されない森の中で自由気ままに暮らしてみたいとさえ思っていましたので、一体どんな物件が売りに出されているのか、ワクワクしながら週末ごとに各地の裁判所に出向き、競売物件ファイルを見て回るという日々を送っていました。

私はおもに「山林・原野」に絞って(農地は農業従事者でないと入札できないため)物件を探してたのですが、さすがに安くてオイシイ物件というのはめったに出ないもので、これといった理想の物件に出会えないままの日々が続いていたある日、信州で気になる物件が出ているのを発見しました。

「事件番号 平成○年(ケ)第×号」

それがここ大岡(当時は大岡村)で出ていた物件でした。十筆の区画に分かれていましたが、すべてまとめての販売で、全部の区画を合わせるとなんと10,328平方メートル。3千坪以上もの広さです。
気になる価格ですが、最低売却価格、つまり競売のスタート価格は237万円となっていました。坪当たりだと約750円ですね。

さっそく大岡まで高速を使って来て現地を下見してみると、ほぼ平坦地で(競売の山林物件というのはたいてい傾斜地が多い)、これなら家も建てられそう。すぐ近くに集落もあるので電気・水のライフラインも問題なし。「これはなんとしても手に入れたい」と思いました。

いざ入札!結果は…

さて、入札価格をいくらにするか。なかなか悩みどころです。
おそらく300万円というキリのいい金額までは行くでしょうから、そこにいくら上乗せするべきか。
いろいろ悩んだ結果、最終的に「340万円」で入札しました。
さて、結果は…

みごと落札!

もう嬉しくて嬉しくて、その日の夕飯は妻とお祝いのごちそうになりました。
なにしろ念願だった「自分の土地」が手に入ったのです。それも三千坪もの広さの。夢のような気分に浸りながら、気持ちはすでに次のステップの「家」に向かっていました。
家もできるだけ安くあげるためにログハウスをセルフビルドする、と決めていました。
「自分の家を自分で建てる」。
土地が手に入ったことで、さらに次の夢に向けて進みだしたのですが、その顛末はまた後日。